「上司からの指示に 『了解しました』 と返したけれど、本当にこれで正しいのだろうか……?」
ビジネスチャットやメールが日常化した現代、短く簡潔な返答は効率的である一方、敬語のグレードを間違えると「礼儀を欠いている」と受け取られることもあります。
本記事では、「了解しました」は失礼ではないのかと疑問を抱く20〜30代ビジネスパーソンに向けて、言葉選びのモヤモヤをスッキリ解消するコツを徹底解説します。
この記事を読んでわかること
- 「了解しました」が失礼とされる場面とそうでない場面の線引き
- 目上の相手に最適な返答フレーズと使い分けポイント
- メール・チャットで使える具体的な返信テンプレート
- 敬語表現を選ぶ際のチェックリストと即実践テクニック
「了解しました」は失礼?意味と敬語としての立ち位置
まずは「了解」という語の成り立ちと敬語レベルを整理しましょう。
ここを押さえておくと、同じ了承・承知・理解との違いもクリアになります。
「了解しました」の語義と丁寧度
失礼とされる3つの背景
とくに3のカジュアル化は、Slack・Teams などリアルタイムツール普及により加速。
ビジネス文脈での “了解” 使用率は社内72%に対し社外12%(2024年・某HRTech社調べ)と、チャネルによる温度差が顕著です。
フォーマルな文脈にそぐわないイメージが強まっています。
「了解」と類義語の違い早見表
表現 | 敬語区分 | 想定される相手 | ニュアンス | 使用推奨度 |
---|---|---|---|---|
了解しました | 丁寧語 | 同僚・部下 | 事務的に受領 | ◎ 日常連絡向け |
了承しました | 丁寧語 | 社内同等 | 決裁・許可済 | ○ 稟議結果など |
承知しました | 謙譲語 | 上司・顧客 | 指示を心得た | ◎ 標準敬語 |
かしこまりました | 謙譲語(最高) | VIP顧客 | 厚い敬意+確実性 | ◎◎ 高ホスピタリティ |
目上に返事するときの最適なフレーズ
「了解しました」が不適切なとき、代わりに選ぶべき表現を整理します。
ここで紹介する4つのフレーズを覚えておけば、大半のビジネスシーンをカバーできます。
「承知しました」と「承知いたしました」のニュアンス差
表現 | 敬語種別 | 使用シーン | ポイント |
---|---|---|---|
承知しました | 丁寧語+謙譲語 | 社内の上司、顧客 | ビジネス標準 |
承知いたしました | 丁寧語+二重謙譲 | 重要顧客・役員 | やや格式高い |
かしこまりました | 謙譲語 | 接客・サービス業 | 柔らかくも高敬意 |
承りました | 謙譲語 | 電話・口頭確認 | 冷静・記録的印象 |
「かしこまりました」が光る場面
高級レストランやホテルで耳にすることの多い 「かしこまりました」 は、謙譲語のなかでも最上級に位置づけられる表現です。
語源は「畏まる(かしこまる)」恐れ敬う気持ちを示す動詞に由来し、「畏まりました=承知し、心して実行いたします」 というニュアンスを含みます。
使用のメリット
例文(接客)
例文(社外メール)
ポイントは “確実性” と “敬意” を同時に伝えること。
特に医療・航空・金融など「一つのミスが重大な影響を及ぼす業界」では、上記のような明確で重みのある返答が信頼感につながります。
また、社内の役員や重要顧客との会食・打合せで使用すると、短いひと言でも「真面目で丁寧な人」という印象を残せます。
「承りました」を使う時の注意点
「承りました」 は「受け取りました/承知いたしました」の謙譲語で、議事録や注文内容を正確に記録したい場面 と相性が抜群です。
一方で、メールやチャットで多用すると「壁を感じる」「冷たい」という印象を与える恐れがあります。
シーン | 適性 | 具体例 |
---|---|---|
電話で注文を受ける | ◎ | 「はい、確かに承りました。お届けは明日の午前中でよろしいでしょうか?」 |
議事録の確認 | ◎ | 「ご指摘の箇所、承りました。修正後に再共有いたします。」 |
カジュアルな社内DM | △ | 「承りました。」→硬すぎるため「了解です!」の方が好印象な場合あり |
取引先への謝罪文 | ○ | 慎重さを示す場面では有効。ただし後段でフォローの言葉を添えると柔らかくなる |
使用前チェックリスト
ワンポイント
「承りました」は文末に配置すると堅苦しくなることがあるため、「詳細を確認のうえ、早急に対応いたします。」のように動作を示す文に続けて使用すると自然な流れになります。
「了解しました」がOKなケース
必ずしも排除すべき表現ではありません。
むしろ相手との距離感を適切に保ちながらスピーディーに反応できるという点で、上手に使えば業務効率を高める武器になります。
ポイントは「誰に・どの場面で」使うかを明確にすることです。
同僚・部下とのやりとり例
水平的・下位関係ではフラットなコミュニケーションが望まれるため、スピーディーな「了解しました」が重宝します。
了解+感嘆符の組み合わせやスタンプは、チームの雰囲気を和らげる効果も。
反面、議事録に残るチャットでは「承知しました」に置き換えるなどあとから参照されるかを判断基準にすると失礼リスクを最小化できます。
くだけた社内チャットでの活用
ビジネスチャットは「即時性」と「カジュアルさ」のバランスが鍵。雑談チャンネルや非公式プロジェクトでは、⏱️や🙆♂️などの 絵文字・短縮語(りょ・LGTM など) と組み合わせることでリズムを損なわずに意思疎通できます。
また、チャットがログとして長期保存される組織では「後から読み返した第三者」にも文脈が伝わるよう、重要箇所だけは敬語に置き換えて冗長さを防ぐ のがベストプラクティスです。
覚えておきたい切り替えライン
ただし、正式依頼には敬語表現へ切り替える ことを忘れずに。
実例で学ぶメール・チャット返信フレーズ
メール文面サンプル
▼返信フレーズ例
チャット返信サンプル
まとめ
目上には「承知しました」、同僚には「了解しました」で温度差を可視化し、社外なら敬意をもう一段上げましょう。
敬語の階段を意識し、「承知しました」→「承知いたしました」→「かしこまりました」の順に敬意アップします。
状況に応じて階段を上下できる柔軟さが鍵となります。